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実習がうまくいく学び方・教え方

03|「看護を学ぶ」「看護を教える」すべての人のための、看護実習お悩みQ&A

看護診断NANDA-Ⅰ(定義と分類)の使い方〜看護実習編〜

 

 

 

 

『NANDA-Ⅰ 看護診断 定義と分類』という本は、実習でどうやって使うの?

 

 

対象の患者さんに対して、看護を必要としている事柄(現象)は何か、を特定するときに使います。

 

 

 

看護過程を展開する実習の場合、アセスメントの次のステップ「看護診断(問題の明確化)」で使うことが一般的です。

 

 

 

 

看護診断の本の使い方

 

NANDA-I看護診断 定義と分類 2018-2020 第11版には、244個の看護診断が載っています。

・便秘リスク状態

・摂食セルフケア不足

・栄養摂取消費バランス異常:必要量以下 など合計244個

 

 

 

便秘リスク状態、というと、文字の感じからなんとなく、どんな状態なのかをイメージできそうですが、ちなみに、こんなふうに定義されています。

 

 

 

 

定義:通常の排便回数が減り、排便困難や不完全な便の排出が起こりやすく、健康を損なうおそれのある状態。

 

危険因子

・腹部の筋の衰弱、Ⅰ日の平均的な身体活動量が性別・年齢別の推奨以下、消化管運動の低下、脱水症、抑うつ、食習慣の変化、トイレ習慣が不十分、食物繊維の摂取不足、水分摂取不足、下剤の乱用 など

 

 

 

 

 

対象の患者さんに、「便秘リスク状態」という看護診断が当てはまるかどうかは、定義として示されている状態であるかをチェック。危険因子としてあげられているもののうち、患者さんにとって便秘を起こすことに影響がありそうなものがあるかどうかをチェック。どちらも当てはまる場合、便秘リスク状態、という看護診断が当てはまる、ということになります。

 

 

 

患者さんにまつわる情報を集めて、それらの情報から「便秘リスク状態かも?」と、看護診断の候補をあげるのが、看護過程の最初のステップ「アセスメント」です。

 

 

 

それに対して、アセスメントであげた候補の看護診断が、実際に当てはまるかどうかをチェックして、当てはまる、当てはまらない、当てはまる場合「これだ」と特定する、のが、2つめのステップの「看護診断」です。

 

 

 

この「看護診断」のステップで、NANDAの本を使います。「これだ」と特定するときには、名前の雰囲気だけで決めてはいけません。定義と、危険因子とを照らし合わせて、患者さんに当てはまるかどうかを確認する必要があります。

 

 

 

 

どうやって「看護診断の候補」を見つけるのか

 

 

そうなんです。ここなんですよね。

 

 

 

候補さえ見つかれば、あとは、当てはまるかどうか確認をするだけです。カギは、当てはまる可能性の高い候補を、どうやって見つけるのか、なんですよね。

 

 

 

どうやって見つけるのかというと、「アセスメント」をして見つけます。見つけるというより、適切なアセスメントができると、浮かび上がってきます。

 

 

 

なぜかというと、アセスメントというのは、そういうことになっているからです。アセスメントがそういうことになっているとは?>>>こちらで。

 

 

 

言い換えると、アセスメントなしでは、看護診断はできません。NANDAの本には、244個の看護診断が載っていますが、そこに載っている看護診断から、患者さんに当てはまりそうなものを「選ぶ」のではありません。「選ぶ」は、間違いです。

 

 

 

100歩譲って、それっぽいものを選ぶことができたとしても、その看護診断が患者さんに当てはまるかどうかの判定が必要になります。その判定には、アセスメントが必要なのです。なので、もしアセスメントなしで無理やり選んだとしても、そのあとにアセスメントをしなければならなくなります。

 

 

 

アセスメントをして、看護診断を特定するための条件をそろえて、看護診断を特定する。これをしないと、看護診断を誤ることになります・・・。

 

 

 

 

看護診断のはじまり

 

医師が”健康問題”そのものを診断するのに対して、看護師は”健康問題に対する反応”を診断するのです。『入門 看護診断 看護診断を使った看護計画の立て方』より

 

 

 

けがをしたとき、けがを治療するのは医師の役割で、けがによる反応を治療するのが看護師の役割。たとえば、けがをしたことによって、着替えがうまくできないとか、けがをしたことで食欲をなくしているとか、けがをしたことによって眠れないなど、けがによる「〜」の「〜」の部分が、看護が焦点を当てる部分です。

 

 

 

そして、これらの「反応」に共通の定義と名前をつけたものが、看護診断です。

 

 

 

看護診断とは、患者の中に見出した「看護を必要とする現象」のこと。NANDAの《看護診断》が開発されるまで看護プロブレムの表現は個々のナースにまかされていました。そのため、看護学的に同じ状態出会っても別の言葉で表すという現象が見られるようになりました。それだけでなく、同じ言葉で表現されていても、その言葉によって表現しようとした現象が異なる、というようなことが起こっていました。   『看護診断を読み解く!』より

 

 

 

例えば、今であれば、NANDAの看護診断を使うと、「便秘のリスク状態」と判断できる状態が、以前は、あるナースによって「便秘が起こる可能性」と表現されたり、ほかのナースによって「便秘になるリスク」と表現されたり。

 

 

 

または「便秘」という表現をしたあるナースは、そのことを「便秘が起きている」ことを意味しているけれど、他のナースは「便秘になるかもしれない」ということを意味している、など、名前も意味もごちゃまぜの時代があったということです。

 

 

 

これでは、一貫した看護ができないということで、看護診断の開発が始まったんですね。

 

 

 

NANDA は、「ナンダ」と読みます。北米看護診断協会インターナショナル:North American Nursing Diagnosis Association – International を略した名称で、日本では、NANDAインターナショナルと呼ばれることが一般的です。

 

 

 

NANDAの本は、看護診断の一覧です。看護診断に慣れないうちは、看護診断に慣れる意味でも、パラパラと本をめくっていろんな看護診断を見てみるといいかな、と思います。

 

 

 

たとえ、アセスメントができて、看護診断を特定する条件がそろったとしても、知らない看護診断は、候補としてあげようがありません。「どういう状態が、看護の対象になりうるのか」ということを確認できると、スムーズに看護診断できるようになります。

 

 

 

 

今日のやってみよう:ナンダの本をめくって、どんな看護診断があるのか、見てみよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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