看護過程のアセスメントを図でイメージしてみる
いつも、ありがとうございます。
ローザン由香里です。
アセスメントする、とは、「対象の状態を判断する」ということです。
例えば、ゴードンの場合、
・健康知覚・健康管理の状態はどうか?
・栄養・代謝の状態はどうか?
・排泄の状態はどうか?
・活動・運動の状態はどうか?
・睡眠・休息の状態はどうか?
・認知・知覚の状態はどうか?
・自己知覚・自己概念の状態はどうか?
・役割・関係の状態はどうか?
・セクシュアリティ・生殖の状態はどうか?
・コーピング・ストレス耐性の状態はどうか?
・価値・信念の状態はどうか?
ヘンダーソンの場合、
・呼吸のニードの充足状態はどうか?
・色のニードの充足状態はどうか?
・排泄のニードの充足状態はどうか?
・姿勢のニードの充足状態はどうか?
・睡眠と休息のニードの充足状態はどうか?
・衣類、着脱のニードの充足状態はどうか?
・体温のニードの充足状態はどうか?
・清潔のニードの充足状態はどうか?
・環境のニードの充足状態はどうか?
・コミュニケーションのニードの充足状態はどうか?
・信仰のニードの充足状態はどうか?
・達成感のニードの充足状態はどうか?
・遊び、レクリエーションのニードの充足状態はどうか?
・学習のニードの充足状態はどうか?
という具合に、Aさんはどのような状態なのか?ではなく、最初は、Aさんの「●●」はどのような状態なのか?を判断します。
これを、図でイメージすると、こんな感じです。
ヘンダーソンの場合
ヘンダーソン理論でアセスメントをする場合を、例に挙げてみます。
左がニードが充足している状態、右が対象の現状。
食のアセスメントをするとします。
アセスメントする、とは?
ニードが充足している状態と、現状とを照らし合わせて、現状はどのような状態なのかを判断する。
→現状はどのような状態なのか、というと【三角な状態である】
→その三角は、どのような充足状態なのかというと、【黄色の部分が不足している、という状態である】
っで、看護の方向性としては、楕円形にする(ニードを充足する)ために【黄色の部分を足す】となります。
さらに、不足している部分を、どんなふうに足すのか。のりで貼るのか、テープを使うのか、ホッチキスで止めるのか、大きな楕円形のピースを見つけて、三角部分を切りとるのか、半円形を3つ集めるのか、いろんなやり方が考えられるわけですが、対象に適した方法で不足を改善することが、イコール、個別性を踏まえる、ということです。
充足状態があって、それと現状とを照らし合わせて、現在のニードの充足状態を判断する。充足していなければ、基本、どの場合も未充足になるわけですが、「どんな未充足なのか」というと、黄色の部分が不足している、というタイプの未充足です、ということです。
対象が異なれば、現状は異なります。Bさんの場合は、正方形かもしれません。Cさんの場合は、星型かもしれません。Aさんの場合は、三角だったので、ニードの充足状態(楕円形)と比べると、図のような3箇所に不足がある、ということになります。
ヌーベルヒロカワの看護過程を使ったヘンダーソン看護論の実践 第3版P124より、の中であげられている、アセスメントの例も、この形になっています。
遊び、レクリエーションのアセスメント
Aさんは、運動が好きな19歳の女性であるから、入院生活であっても気分転換ができ、意欲を持って治療生活をおkれることが、この欲求の充足状態である。
しかし、実際は、退屈であるということから、気分転換の機会がない状態であるので、未充足状態である。〜後略〜
改めて読むと、例とはいえ、少し粗い気もしますが。苦笑
大事なことは、充足状態を踏まえて、現状はどうなのかを判断している点です。
これは、ヘンダーソン理論でアセスメントをする特徴でもあります。
ということは、ヘンダーソン理論でアセスメントをするときの、「カギ」は、充足状態をいかに適切に捉えることができるか、プラス、現状を判断するために必要な情報を得ることができるか、になります。
楕円も、三角もわからなければ、現在のニードの充足状態を判断することはできないからです。
では、次にゴードンの場合、を確認してみます。
ゴードンの場合
ゴードンのアセスメントと、ヘンダーソンのアセスメントの最大の違いは、現状と比較をする対象がない、という点です。
ヘンダーソンの場合、人が健康である、ということは、人が持っているニードが充足している状態である、ということだ、という前提があります。
ので、充足した状態と、現状とを照らし合わせて、現状が充足状態と、どれほど異なるのか、を確認します。その違いを調整するのが、看護介入になります。
その一方で、ゴードンの場合は、ずばり現状を把握します。
つまり、現在の状態を表すデータ(事実)をもとに、そこから、どんな状態だといえるのか、を判断します。
ので、今回の図を使うと、アセスメントの結論は【三角形である】
「三角」といっても、いろんな条件があります。この場合、二等辺三角形であること、青い三角形であることなど「どのような三角なのか」を踏まえて、看護診断をします。
たとえば、栄養についてアセスメントするとき、アセスメントの結論は「栄養状態が悪い」とだけには、なりません。
食欲がなく、食事摂取量が2割と少ない。そのため、総蛋白が6.0g/dl,アルブミンが3.8g/dlと低い。よって、栄養が足りていない=栄養状態が悪い。
ここでいう、「食欲がなく、食事摂取量が2割と少ない。そのため、総蛋白が6.0g/dl,アルブミンが3.8g/dlと低い」これが、「栄養状態が悪い」ということの、中身になります。
この中身を使って、看護診断をします。
看護診断名の「感じ」「雰囲気」で選ぶのではなく、アセスメントの中身を使う、という点がポイントです。
今回の場合、三角の「中身」は、こちら。
・底辺が3センチ
・色はブルー
・上の角度が30度
これらを条件として持っている看護診断=受け持ち患者さんにあてはまる看護診断、ということになります。
三角であれば、どれでもいい、わけではなく、条件が合致した三角である必要があります。
例えば、栄養・代謝パターンのアセスメントをするとします。
アセスメントの中身を使って、看護診断するわけですが、
栄養・代謝パターンで扱う看護診断は、20近くあります。
このうちの、どれでもいい、わけではなく、
受け持ち患者さんの状態を示す、看護診断でなければなりません。
この看護診断は、この患者さんに当てはまるのかどうか、を確認する「決まった方法」があります。
この、決まった方法で看護診断するためには、決まった方法で、アセスメントができている必要があります。
と、ここまで確認ができましたら、
次は、「アセスメントの方法」について、確認しましょう。^^
なぜ、決まったやり方で、アセスメントをするのか、の理由がわかります。
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