学生が看護診断するときネーミングの前に確認したいこと
今回、学生の看護過程を見ていて、なんとなくOKを出していたものに対し、病院指導者から疑問を提示され、私も調べたのですが、明確な回答を得られませんでした。
問題名「移動のセルフケア不足」です。
セルフケアは、食事・清潔・更衣・排泄とあります。移動の問題がある場合は、それに準じたものになると思うのですが、ゴードン分類をしていて、身体可動性障害というには、障害とはなんか違うかなともう時に、学生がよくつけてきます。私も質問されて、調べて適切でないなということで、学生に説明し、”身体可動性障害”のネーミングにして看護過程を展開してもらいました。
ローザン先生は、この”移動のセルフケア不足”聞いたことありますか?
学校によって、定義や診断指標、関連因子などから、当てはまる看護診断がないと判断したとき、オリジナルの看護問題を使ってもよい、としているところもあるようです。
どのような情報から、どのようにアセスメントしたのか、という内容がわかりませんので、想像する範囲で、ですが。私が思うに・・・
結論としての「移動のセルフケア不足」という看護診断、看護問題が妥当かどうか、ということとは別に、
どのようにして、その看護診断、看護問題にたどりついたのか。判断の仕方(方法)が重要になってくるように思います。
看護診断というのは、アセスメントをした結果と、診断指標、関連因子、危険因子などを照らし合わせて、該当する診断指標、関連因子、危険因子などがある場合、その看護診断が、対象に当てはまると判断する、ということだと認識しています。
結論としての看護診断が妥当かどうかは、< どのように判断して、その結論になったのか >という、前半の< どのように判断して >の部分がカギになると思います。
「身体可動性障害というには、障害とはなんか違うかなともう時に、学生がよくつけてくる」
「なんか違う」というのが、看護診断名、名前だけから判断しているのか、定義の内容だけから判断しているのか、十分な情報のもと、診断指標や関連因子、危険因子などと照らし合わせたうえでの、「これには当てはまらない」なのか。
現在、どのように判断しているのか、結論を出しているのか、どのような意図でその看護診断、看護問題名になってのか、などによって、指導の内容は違ってきそうです。
「移動のセルフケア不足」と表現した場合、移動のセルフケアに含まれる行為というのは、かなり幅広いことが想像できます。
何をさして、移動のセルフケア、といっているのか、ここにアセスメント(判断の詳細)を確認できるように思います。
この看護診断を使ってよい、使ってはいけない、ということではなく、使う場合に満たしておかなければいけない条件は何か、それが満たされない場合は、この看護診断は当てはまらない、といった具合に、「判断の仕方」を指導することが重要になるかと感じます。
↑この基準が明確になることで「なんとなくOKを出す」ことを防げるように思います。
私も、看護診断に関して、まだまだ勉強中の身です。看護診断にまつわる学生への指導で悩むことも多くあります。看護診断や、看護診断、看護過程のセミナーや勉強会などで、指導者である私たちがエキスパートから学ぶ、ということも大切だと感じています。
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