看護過程をするときによくある間違った情報収集
情報収集によくある間違いは、「とにかく」集めてしまうこと。
とにかく集める、というのは、集めた情報をその後、どう使うのかがわからないまま、集めることが目的になっています。
情報を整理する記録用紙が、埋まればおっけー。という考え方で、情報を集めていくと、集め終わった後に、行き止まりになります。
集めることが目的なので。
集めることができたら、終了。ですよね。
でも、実習で情報収集をする目的は、情報を集めるため、ではないはずです。
看護過程、とか
実習記録、とか
があるために、「集めて書く」こと自体が課題、みたいに感じてしまいやすいですが、情報を集める目的は、患者さんを知るため、です。
では、なぜ、患者さんを知る必要があるのか。
知らないと、必要な看護がわからないからです。
わざわざこうして説明すると、ふざけてると思われるほど、当たり前のことなんですが、ここ本当に大事です。
患者さんに必要な看護は、患者さんを知らなければ判断できません。
患者さんは、こういう状態で、日常生活をする上でこんな影響がある。ので、より良く日常生活を送るために、こんな関わりが必要だ。
という具合に、必要な看護は、患者さんの状態とセットになっているはずです。
つまり、なぜ患者さんの状態を判断する必要があるのか=アセスメントをする必要があるのか、というと、患者さんに必要な看護は何かを判断するため、ということです。
ということは、ですよ。
アセスメントって、なんのために行うのか、というと、
患者さんはどんな状態なのかを判断するため、で
それは言い換えると、「看護の関わりが必要な状態かどうか」を判断する、ということ。
こういうことが原因で、栄養が足りていない時、看護の関わりって必要になるよね。という場合、
受け持ち患者さんが「その状態」に当てはまれば、受け持ち患者さんには、栄養に対する看護の関わりが必要だ、ということになります。
つまり、集めるべき情報は、受け持ち患者さんが「その状態」に当てはまるかどうかを判断するために必要な情報、ということです。
例えば、心不全の患者さんの場合、「心不全の患者の看護」を調べると、肺うっ血があると、呼吸困難を生じて、臥床することがむずかしくなる、ので、起座位で安楽な姿勢を取る必要がある、とあります。
受け持ち患者さんも心不全で、「肺うっ血があって、呼吸困難があり、臥床すると息苦しい」という状態の時、起座位で安楽な姿勢を取る、という関わりが必要になる、ということ。
つまり、心不全の受け持ち患者さんに、教科書に載っている「起座位で安楽な姿勢を取る」という関わりが必要になるかどうかを判断するために、活動についてアセスメントをする際には、
いつもの、運動機能やADLなどについての情報以外に、
・肺うっ血があるか(ある場合は検査結果なども含む)
・呼吸困難を認めているか
・臥床することで息苦しさがあるか
などの情報が必要になる、ということです。
受け持ち患者さんに必要な看護は何かを見極めるために、必要な情報を集める。
言い換えると、
一般的には、心不全の場合、こんな看護が必要だとされている。
受け持ち患者さんにも、その看護が当てはまるだろうか。それを確認するために必要な情報を集める。
情報を集めてから、その情報をながめて、何をアセスメントしようかを考えるのは、順番が間違っています。
アセスメントをするために、必要な情報を集めるのです。
アセスメントをするために必要な情報を集めれば、アセスメントができるはず。
アセスメントによって状態を判断できれば、あとはその状態を改善するためにかかわるのみ。
看護過程の土台は、アセスメントです。
このアセスメントが、ずれないためには、ずれない情報を集める必要があります。
おさらい看護過程講座では、アセスメントをするための情報を集める準備から、実際に集めるまで、情報収集についての解説を、全10回のうち3回分を費やしています。それほどに、情報収集は看護過程の「カギ」なんです。
ムダに遠回りをせずに、受け持ち患者さんに必要な看護にたどり着くために、ずれない情報収集をマスターしたい方は、ぜひおさらい看護過程講座がおすすめです。
看護過程喉のステップにおいても、「とにかく」「とりあえず」することは、ひとつもありません。アセスメントをするための情報収集を集めるように、どのステップも、かならずつながっています。
なんのために、これやってるのか・・・そんな疑問を感じながらの実習で、楽しく看護を学べるわけがありません。実習記録に振り回される実習を、看護を学ぶ実習へ。