看護実習記録が進む参考書の使い方〜プチナース4月号付録関連図編〜
実習で、かならず必要になる、受け持ち患者さんの「疾患の学習」
「疾患の学習」というのは、文字の通り「疾患について学習」することなんですが、ものすごく大事なことを勘違いしている人が多いような気がします・・・。
疾患について学習する目的は、患者さんに必要な看護を考えるために必要だから、なんですね。疾患にくわしくなることが目的ではありません。
症状を覚える、でもなく、解剖生理を図にかける、でもありません。患者さんに必要な看護を考える上で【必要な知識を使う】ここがポイント。
つまり、「疾患について学習しました。けど、看護過程を展開する中で、そのうちのなんの知識も使ってません」なのだとしたら、その学習、いらないですよね、汗・・・という話。
本日は、ただでさえ限られた時間を使って学習するのだから、実習の役に立つような学習にしたい!という方へに、お届けしたい記事です。
疾患の学習とは、症状を覚えることではない
疾患について学習する、というと、「症状を覚えること」だと勘違いしている人は、少なくありません。
勉強しました。
症状を覚えました。
聞かれれば、答えられます。
覚えているかどうかを問われる試験であれば、これで合格ですが、実習は「症状を覚えているかどうかを確認する」ことをねらいとしていません。
もちろん、「この疾患の場合、どんな症状が出るのか」ということを理解できていないと、観察ができません。ので、どんな症状が出るのか、を知っている必要はあります。
が、どんな症状が出ているのかを観察する必要があるのは、なぜでしょう。
どんな症状が出ているのか、を観察する、ということは、同時に、どんな症状は出ていないのか、を観察する、ということ。
これ、つまり何をしているのか、というと、「今現在、何が起きているのか」を判断しているんですね。
この症状が出ている、ということは、身体のどこがどうなっているのかがわかる、ということで、この症状が出ている、ということは、この先こういう状態になりうると予測ができる、ということ。
つまり、↑こうした判断ができることで、「だから、生活にどんな影響があるのか」を考えやすくなる、ということです。
看護過程に使える、疾患の学習とは
看護過程を展開する=患者さんに必要な看護を考える、ということにおいて、疾患の理解は、どんなふうに必要になるのか。
身体のどこがどうなることで、どんな状態・状況になるのかがわかる。ことで、その状態・状況は、どのように生活に影響するのかを考えることができる。どのように生活に影響するのか、がわかることで、どんな看護が必要なのか、がわかる。ということ。
↑これを一目で確認できるのが、「関連図」です。
今は、こうした関連図を、自分で作らなくても、すでにできあがっているものが売っています。しかも、看護学生さん向けの雑誌などで扱われている関連図は、ほんとーーーにやさしい内容になっていて、わかりやすい。ですし、使いやすい。
上の図は、心不全の関連図(病態関連図+看護)の一部です。
心不全の症状を覚える、というのは、「右心不全の場合、肝腫大、消化器症状を認める」これを覚える、ということ。
これを知っていると、肝臓のあたりを触診して、肝臓が腫れていないかどうかを確認できます。患者さんに食欲や食事摂取量、腹部不快感などについて確認して、消化器症状の有無や程度も確認できます。
ここで、肝臓が腫れていることを確認しました。合わせて、食欲がない、食事摂取量が減っている、ということも確認できました。症状を覚えていると、ここまでのことができます。
問題は、この次です。肝臓が腫れています。食欲がありません。食事摂取量が減っています。これって、つまり、現在どんな状態なのですか? =何が起きているのですか? ということは、どんな看護が必要になりそうですか?
これってつまり、右心機能が低下しているという状態で、この状態が続くと、栄養が足りない状態になる可能性があるため、栄養状態に注目する必要があるという状況です。
ということがわかると、実際の栄養状態はどうでしょう?ということで、確認できている、食欲や食事摂取量の他に、血液検査の結果や体重の増減など、栄養が足りていないときに見られる徴候がでていないかどうかを確認する、という看護が浮かぶ、ということにつながっていきます。
看護過程に使える、疾患について学習をする、ということは、身体のどこがどうなって、どんな症状がでるのか、を理解すること。プラス、それは、どのように生活に影響するのか、をセットで把握する、ということなのです。
個別性のある看護に疾患の学習は必須
個別性、というのは、「その」患者さんならではの特徴、ということです。
イメージしやすいのは、「性格や習慣」
これは、本当に患者さんによって様々です。これまでの実習でも、日常生活援助を行う際には、患者さんがこのようなこだわりを持っておられるので、この時間にこのケアを、とか、患者さんの元々の習慣がこうだったので、このケアはこの方法で、といった具合に、患者さんの性格や習慣を盛り込みながら、看護について検討されたことがあるかと思います。
疾患も同じ。
患者さんを表す、ひとつの特徴です。
心不全の患者さんに、糖尿病の看護は適しません。心不全ならではの、必要な看護があります。さらには、同じ心不全であっても、どのような時期にあるのか、どのような状態なのか、どのような治療が行われているか、などによっても、必要な看護は異なります。
にもかかわらず、心不全ということと、生活への影響ということを関連づけて、看護を考えることができていないとき、病態と関連づけることができていない=心不全という特徴を踏まえることができていない、ということになります。
病態を理解できていないと、なぜ必要な看護にたどり着けないのか。
ある症状、状態、状況について、適切に捉えることができないから、です。
食欲がない、食事摂取量が減っている、という情報に対して、この原因が右心機能の低下だと確認できないとき、一時的な症状だと思われるため、様子を見る、という判断になりかねません。
ある情報に対して、それをすぐに対処が必要な状態だと判断するのか、今後良くなっていく状態だと判断するのか、この先悪くなる可能性があると判断するのか、これは、その情報を【どのように、捉えるのか】によって違ってきます。
そして、適切に捉えるためには、病態を理解している必要があります。という理由で、看護過程を展開する=必要な看護を考える、には、疾患について学習している必要がある、というわけなんです。
看護過程に使える、疾患の学習とは。
身体のどこがどうなって、どんな症状が出るのか。それは、生活にどんな影響があるのか。をセットで学習すること。
つまり、疾患の学習という名前でありながら、その疾患の場合、どんな看護が必要なのか、っで、それはなぜか、を学習するというのが、実習で言うところの「疾患の学習」です。
疾患と看護をセットで学習するには、関連図がおすすめです。なかでも、プチナースの図はすっきりしていて見やすい上に、解説がやさしい。
しかも、4月号の付録の関連図は、実習で良く出会う40の疾患、すべての関連図に、なんと!「個別性のポイント」についての解説がのっています。この疾患の場合、「ここ、絶対に外さないでね」というポイントです。看護学生さん必携です。