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実習がうまくいく学び方・教え方

03|「看護を学ぶ」「看護を教える」すべての人のための、看護実習お悩みQ&A

人間関係も看護アセスメントもダメにするもの

いつも、ありがとうございます。

ローザン由香里です。

 

 

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看護過程も、人間関係もこれに尽きるな、という、最近わたしがはまっているもの「論理的思考」

 

 


倫理的思考とは、筋道を立てて考える、ということなんだけれど、筋道を立てて考える具体的な方法というのは、いろいろあります。今日は、その中のひとつをご紹介。

 

 

 

 

事実を事実として捉える

 


事実というのは、事実であって、それ以上でも、それ以下でもない、ということ。

 

 


当たり前のことなんですが、これがなかなかむずかしい。

 

 


なぜかというと、事実を捉えるのは「人間」であって、事実が、その人のフィルターを通ることで、その人なりの解釈になってしまうことがあるから。

 

 


つまり、事実が事実ではなく、その人の主観にもとづく考えにすり替わってしまう、ということ。

 


例えば。

 


上司;今日、Aという仕事をお願いできますか?

私;今日はBの仕事を終わらせる予定で、Aを引き受けるのは難しいです。

上司;わかりました。では、Bの仕事をお願いします。Aの仕事は、他の人に頼みます。

私;お願いします。


みたいな会話があったとします。

 

 


その後、上司は、最終的に仕事を引き受けた、Cさんとずっと話をしています。

 

 


ここからわかる事実は、「上司は、先ほどの件の後、ずっとCさんと話している」

 

 


ただ、それだけ。なのに、

 

 


「普段なら、いろんな案件について、経過についていろいろ聞いてくるのに、今日は全然聞いてこない。やっぱり、断ったことで、上司の機嫌を悪くさせてしまったんだ…」

 

 


これは、勝手に思っていること、であって「事実」ではありません。正確には、事実かどうかはわかりません。

 

 


上司がCさんとずっと話しているのは、話す必要のあることが多い頼みごとだったのかもしれないですし、他の用事があったのかもしれないですし、「機嫌が悪い」かどうかは、「私」が勝手に思っていること。

 

 


この状況に耐えられなくなって、「私も、Bの件でお手伝いできることがありましたら、申しつけてください」みたいなことを言い出したら、きっと信用を失います。

 

 

 

 

思い込みにもとづく行動は信用を失う

 

 

「私」は、Cさんと上司の忙しそうにしている様子を見て、そんな大変な案件なら、手伝ったほうがいいかも、と「良かれ」と思って声をかけたわけなのですが、相手からすると、「は?」となります。

 

 


・すでに、「私」抜きで進めるつもりで、調整しているし
・引き受けられるんだったら、最初から言って欲しいし
・仕事Aを終わらせることが優先でしょ

 

 


そもそも、上司の機嫌が悪くなったわけではないのだとしたら。「は?」となるはずなんです。

 

 


なぜなら、相手には、「私」の頭の中で起こっていることは見えていないから。

 

 

 

結果としての行動しか見えないので、「なぜ、その結論(行動)になったのか」わからないために、いろんなことの辻褄が合わず、「は?」が生まれます。

 

 

 

 

人間関係にも、看護アセスメントにも良く効く


人間関係がうまくいかない理由はいろいろありますが、コミュニケーション不足による、解釈の「ずれ」というのは、その理由のうちのひとつです。

 

 

 

そのずれは、どのようにして起こるのか、というと、わかりやすく言うと「思い込み」です。

 

 


事実を確認しないまま、今ある条件で、こんな状況なんだと決めつけてしまう=思い込み。

 

 


あんなことがあったから、こうに決まってる。
あんなふうに言うってことは、こういうことだって決まってる。

 

 


いやいや、決まっていません。

 

 


事実は、
・あんなことがあった、ということ
・あんなふうに言った、ということ

 

 


だから、こうなんだ、は「あなた」の解釈です。

 

 


「だから、こうなんだ」は、ひょっとすると「そうではないかも」しれません。

 

 


事実は事実。
解釈は解釈。

 

 


これを区別できるようになると、悩まなくてもいいことで、悩まなくて済むようになります。

悩まなくていいことで、悩んだりしてません、と思うかもしれません。が、意外にそうでもないんです。

 

 


自分の思い込みによって、事態を悪くしていることって、意外とあるものです。

 

 


事実は事実。
解釈は解釈。

 

 


これができると、患者さんの状態や状況を、偏りなく判断できるようになります。

 

 


アセスメントも、結局のところは、「判断する人」の考えを述べるわけなので、思い込みをしやすい人のアセスメントは、思い込みの強いアセスメントになるのは当たり前なのです。

 

 


思い込みチェックは、人間関係も、看護のアセスメントの質も、良くしていきます。

 

 

 

ポジティブな思い込みも、ネガティブな思い込みも、私たちの思うほとんどのことは、「思い込み」なのかもしれません。

 

 

 

なのだとしたら、「思い込みをしているかもしれない」前提で、十分なコミュニケーションを図ることが、ムダに悩みを生まないコツなのかも、ですね。

 

 

 

 

 

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