長期入院患者さんの情報が整理できないときに確認したい3つのこと
こんにちは、ローザン由香里です。
入院期間が長い患者さんの情報収集、というと、情報が多くて大変だ・・・と思われるかもしれません。
私も、新人ナース時代、情報収集には苦労しました・・・。
患者さんを受け持つ前日に、何時間もかけて、何人ぶんものカルテ全部を一通り読み返したものです。
そうしないといけない、と思っていたので。
ん?ひっかかりました?
そうしなければいけないと思っていた?
え?しなくてもいいの?
結論から言いますと、「しなくていい場合」もあります。
なんのための情報収集なのか、その目的によって、情報収集の方法は異なります。
ちなみに、ナースがみんな、一瞬にして、長期間分の情報を得ているか、というと、そういう人もいるかもしれませんが、まれだとおもいます。
少なくとも私は、どんくさいナースで、何かにつけて時間がかかるタイプでしたので、長期入院されている方のカルテからの情報は、小分けにしてました。今日はこれについて、今日はこれについて、と、その日に必要な情報を確認して、少しずつ把握する情報を増やしていきました。
もちろん、それで、その日に足りないこともあるわけなんですが、そのときは、気づいた時点で追加してました。カルテは、常にステーションにあるので、必要な時には、いつでも確認できます。
なんのための情報収集なのか?
情報収集に限らず、方法(やり方)について考える時、私が常に意識していることです。
今回は、実習という、限られた期間で、患者さんに必要な看護を判断して行う、ための情報収集について、考えてみたいと思います。^^
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受け持ち患者さんが入院されている期間が長い場合、また、入院退院を繰り返されている場合など、初めての入院の方や、入院期間が短い患者さんに比べると、カルテに記録されている事柄が多くなることがあります。
カルテに書かれている情報を、全部確認しなくちゃいけない・・・と思うと、気が遠くなったり、ちゃんと全部確認できるだろうか、と不安になったり焦ったりすることもあるかもしれません。
が、ここで注意しなければいけないことがあります。
看護における情報収集、というのは、「今、この患者さんに必要な看護は何か」を判断するために必要な情報を集める、ということであって、必ずしもカルテに書かれている情報を全部把握する、ということではない、ということです。
特に、実習のような、期間が限られた中での取り組みの場合、「ポイントをおさえた情報収集」が重要になります。
では、どんなポイントをおさえると、現在の状態を把握できる=必要な看護を判断するための情報を得ることができる、情報収集ができるのか。
入院の目的
当初、なんのために入院が必要になったのかを確認する。
入院時の状況、というのは、現在の入院の「はじまり」となる出来事になります。
入院期間が長い場合、この出来事から、様々なことがあっての「現在」ということになるかと思いますが、そもそも最初はどんなことがきっかけで入院になったのか。
↑この点を把握できると、現状と照らし合わせることで、「何がどうなって、入院時の状況が、現在の状況になったのか」 つまり、入院時の症状や状態は、どのような治療や対処によって、どう変わったのか。ここが「おさえるポイント」ということになります。
入院時から、現在までの経過をすべて把握する、のではなく、入院時の状況が、どのように変わって、現在の状態になっているのか、という点に注目して、経過を把握する、この点がポイントです。
現在の状況、状態
情報収集、というと、カルテを使う、というイメージがある場合、要注意です。
過去についての情報は、カルテで確認できますが、私たちが確認したいのは「現在の状態」です。
過去についての情報は、すべてを得る、のではなく「現在の状態を判断するのに必要な過去の情報」にフォーカスして集めます。
ということを理解できている人は、何より「現在にまつわる情報」を集めることを大事にします。実際に患者さんを観察することで、現在の様子を確認したり、カルテに記載されている情報の中でも、最近の情報に注目します。
が、現在の状態を判断するのに、必要な過去の情報、という認識がない場合、まず、カルテからの情報収集にこだわりすぎる、ということが起こりがち。
さらに、カルテを使って情報収集をするとき、入院時の状況を確認した後、そこから入院翌日、その次の日、その次の日、とだんだんと現在に近づいていくような、進み方で情報収集をするので、いつまでたっても、「現在」の情報にたどりつけません。
私たちが看護をするのは、今目の前にいる患者さんなのに、その患者さんを見ることなく、過去の情報ばかりにとらわれていては、今の患者さんに必要な看護は見出せないはずです。
ポイントをおさえて情報収集するとき、情報収集の順序がカギです。
現象ではなく、原因・要因を合わせて確認
例えば、血液検査の結果。
入院期間が長いと、検査結果の数をすべて把握しようと思うと、かなりの数になるかと思います。その、かなりの数の検査結果を、それぞれアセスメントする必要があるのか、というと、必要なものと、そうでないものがあります。
では、必要なものと、そうでないものを、どのように判断するといいのか。
原因・要因に注目します。
何が影響して、その値になっているのか。
基準値を基準値ないか、逸脱しているか、という、「結果としての値」だけでなく、なぜそのような値になっているのか、その原因・要因を合わせて確認する、ということです。
入院当初、赤血球、ヘモグロビンが低くて、貧血を生じていたけれど、現在は改善していて、赤血球、ヘモグロビンとは別に、腎機能を評価する値が悪くなっている、というとき、
もちろん、現状を示す、腎機能を評価する値については、アセスメントするわけですが、赤血球、ヘモグロビンについては、どうしたらいいのか。今は問題はないけれど、過去に基準値を逸脱することがあったため、扱わなくてもいいのかどうか、迷う、という場合、
・入院当初、何が影響して、赤血球、ヘモグロビンが低くなっていたのか
↑原因・要因を確認します。その原因・要因が、今も存在している、または、現れる可能性があるとき、今後ふたたび、貧血を生じる可能性がある、といえます。
逆に、入院当初貧血を生じていた原因・要因と考えられるものについて、今は認めていない、または、今後現れる可能性も低い、という場合は、今後貧血が起こる可能性は低いと考えて、昔赤血球やヘモグロビンが低かったという情報を扱う優先度は低い、と判断できるといえそうです。
大事なことは「現在の状態を判断するために、必要な情報かどうか」という点です。
その時期に起きたことを、その都度アセスメントする、のではなく(しても良いですが、その方法で、現状についてのアセスメントができない、ということが起こるのなら、優先すべきは、現状のアセスメントです)、現在の状態、状況を判断する=アセスメントする、ことにフォーカスして、それに必要な情報、それに関連する情報を集める、という考え方で、集める情報を精選されると良いと思います。^^
昔の情報について、それをどう扱ったらいいのか迷う時、その情報と、現在の状態、状況はどう関係しているのか、という視点で確認してみるといいかもしれません。
見えている範囲で、感覚的に、関係がある、関係がない、と判断するのではなく、昔は、何が影響して、その状態状況、その値になっていたのか、を確認する。っで、今はそれらの影響はありそうなのか。これをもとに、関係の程度を確認するとよいかと思います。^^
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