看護実習に役立つ関連図をいちから学ぶ〜検査・治療と看護の関係〜
いつも、ありがとうございます。
ローザン由香里です。
医者でもないのに、なんで治療や検査のことまで学習しないといけないのか?
その理由は、看護をする上で必要だからです。
「看護と関係ないのに、なんで治療や検査の事を学習しないといけないの?」と疑問に感じているとき、文字の通り、看護につながる治療や検査の学習ができていない、のかもしれません。
だとしたら、意味がない、関係がない、と思えても仕方がありません。
が、実際には、意味があります。関係があります。このことについて、解説してみようと思います。
治療と看護の関係
対象に必要な看護を考えるのに、治療を理解している必要があるのはなぜか?
・なんのために行われている治療なのか、を理解していることで、治療の成果を確認するための情報を意図的に集めることができる
→浮腫の改善のために、利尿剤を使っている場合、どれほどの利尿がはかれているか、浮腫が改善しているか、体重が減っているかなどにについて、意図的に観察や測定をすることで、経過、状態を判断しやすくなります。
・どのような影響がある治療なのか、を理解していることで、治療が及ぼす影響に対する看護を検討できる
→浮腫の改善のために、利尿剤を使っている場合、利尿剤服用の副作用として、電解質のバランスがくずれる、血圧が下がる可能性がある、という事を理解していることで、意図的に観察、測定をすることで、早期発見早期対処ができます。
対象の全身状態を把握するための、観察や測定、フィジカルアセスメントなどは、すべて「看護」です。
ほかにも、利尿剤の使用により、何度もトイレに行くことにともなう苦痛や疲労もあるかもしれません。酸素療法が行われている場合、酸素療法のためのカニューレが装着されることによって苦痛が生じたり、活動制限がされたり、器械音によって睡眠が妨げられたりすること、など、治療が及ぼす、生活への影響という点への介入は、看護の役割です。
というわけで、
・効果的に治療が行われるための管理(成果と、副作用;影響などを把握)
・治療が及ぼす生活への影響に対する看護介入
これらのことを行うためには、その治療はなんのために行われていて、この対象には、どのように行われるのかを理解している必要がある、というわけです。
では、同じように、検査についても確認しておきましょう。
検査と看護の関係
対象に必要な看護を考えるのに、検査を理解している必要があるのはなぜか?
・なんのために行われている検査なのか、を理解していることで、検査結果を活用できる
→心臓の機能を評価するために血液検査や心エコーを行った場合、それらの検査の所見をもとに、関連図の続きを確認できます。左心室の収縮機能が改善している、という事を確認できた場合、次の心拍出量の低下も改善されて、肺うっ血の改善につながるかもしれない。ということは、肺うっ血の状態を、レントゲン所見で確認しておこう、とか。肺うっ血の改善によって、呼吸状態も改善するかもしれない、と予測して呼吸状態を観察する、とか。
検査の結果(所見)をもとに、「だから、今後どのような看護が必要になるのか」を検討できます。
・どのような影響がある検査なのか、を理解していることで、検査が及ぼす影響に対する看護を検討できる
→検査のための操作による苦痛や不快、副作用、合併症など、を理解していることで、検査の前から、中、後にかけて、必要事項を観察できたり、必要な対処を早期に行うことができます。
というわけで、
・検査結果の把握と活用
・検査が及ぼす身体、生活への影響に対する看護介入
これらのことを行うためには、その検査はなんのために行われていて、この対象には、どのように行われるのかを理解している必要がある、というわけです。
大事なことは看護につながる理解ができること
治療の場合も、検査の場合も、内容や手順がわかるだけでは、看護につながりません。
その場に立ち会っているとき、医師が何をしているのかがわかる、というメリットはありますが、だから「ナース」は何をするのか、がわからないと、そこにいる意味がありません。
疾患の学習をするとき、その疾患にまつわる検査や治療を学習する理由は、それらが及ぼす対象への影響を理解することで、必要な看護を判断しやすくなる、ことです。
つまり、検査や治療を学習する、というときの、その内容は、目的、手順だけではなく、身体的、心理的、対象の生活に、どんな影響があるのかを把握するための内容であることが重要です。
このことに注目して整理されているのが、●●(検査、または治療)を受ける患者の看護、というタイトルで示されているものです。
例)
・心臓カテーテル検査を受ける患者の看護
・酸素療法を受ける患者の看護 など
関連図の話に戻りますと、症状→看護、という流れは、教科書にも良く載っているので、想像しやすいです。
ここに、さらに、症状(または病態)に対する治療→状況、検査→状況 とつながると、より受け持ち患者さんにあった「看護」を示すことができる関連図になります。
そんな関連図ができると、「患者さんの全体を把握できている」関連図、ということになり、ずれない看護診断、看護計画につながっていきます。