重要な情報がわからない人によくある紙上患者事例の看護過程の始め方
こんにちは、ローザン由香里です。
重要な情報がわからない人は、いきなり患者情報の用紙を読み始める。
これ、紙上患者事例で看護過程を展開するときに、いちばんやってはいけないやり方。
正確には、やってはいけないというより、「いちばん時間のかかるやり方」です。
紙上患者事例で看護過程を展開するとき、最初にもらいますね。
患者にまつわる情報が書かれた用紙。どんな経過で入院したとか、どんな治療をしたとか、入院後どんな様子なのか、とか。検査結果とか、家族構成とか、発言とか、いろいろ。
これを、なんの準備もしないで、いきなり読み始めることほど、効率の悪い方法はありません。
なぜ、いきなり読み始めると、時間がかかるのか。
英語の長文問題を例に挙げてみたいと思います。
英語の長文問題とは、たとえばこちら↓↓
問題用紙の冒頭には、「次の英文を読み、あとの問いに答えなさい」とあります。
ので、用紙の上から順番に読んでいくという習慣がある人は、問いの文章を読んだ後、示されている長い英文に突入していくことになります。
が、試験対策でよく言われるのは、長文を読む前に「あとの問い」を確認する、ということ。
長文を読み前に、どんなことについて問われるのか、問題を先に確認しましょう、ということ。
なぜ、これが重要なのかというと、どんなことについて問われるのか、を事前に確認できることで、その答えを意識しながら長文を読むことができるからです。
長文を読む目的は、その後の問いに答えるためです。読むこと、読み切ること自体が目的ではありません。
すべての単語の意味がわからなくても、すべての文章を完璧に訳すことができなくても、問いに答えることができれば、得点できます。
逆に、すべての単語の意味がわかっても、すべての文章を完璧に訳すことができても、問いに答える時間がなかったり、問いの解釈を間違えたり、答えが間違っていれば0点です。
大事なことは、問われていることは何か?その答えは、何か? ここにフォーカスして長文を読むことです。
つまり、問いを確認しないで、長文を読んだとき、問いとは関係のないところが気になったり、迷ったり、悩んだりすることに時間をかけてしまうことがあります。
また、長文の内容を明確に覚えていない限り、問いを読んだ後に、その問いにまつわる答えを確認するために、再び長文を読み直す、ということが起こります。
どれもこれも、「問い」を知っていれば、しないで済んだことばかりです。これが、結果として時間がかかる理由です。
勘の鋭い方は、気がつかれたかもしれないですね。
紙上患者事例で看護過程を展開するときも、同じです。
なんのために、患者情報を読むのか。
患者情報を読むのは、そこから「重要な情報を拾い出して、患者の状態を判断する」ためです。
長文問題でいうところの「あとの問い」というのは、
問1 ●●についてアセスメントするのに、必要な情報を拾い出しなさい
問2 拾い出した情報をもとに、●●についてアセスメントしなさい
というイメージですかね。
ここでいう「●●」というのは、ゴードンの場合、11パターンそれぞれ、ヘンダーソンの場合、14のニードそれぞれ、です。
●●についてアセスメントをするには、どんな情報が必要なのか。これを確認しないまま、いきなり患者情報を読み始めるということは、問いを確認しないで英語の長文を読み始める、ということ。
この場合、ただただ、文章を読んで、読み終えた後に「っで、なに?っで、どうすればいいわけ?」となりかねません。これは、読むこと自体が目的になってしまっているからです。
その一方で、必要な情報がわかったうえで、患者情報を読み始めている人は、必要な情報をどんどん拾って、情報整理の用紙に書き込んでいきます。この時点で、すでにアセスメントが始まっているんです。
アセスメントのスタートのタイミングに差が出ることは、明白です。
勉強でも、看護過程でも、「できる」と言われる人は、ひとつももらすことなく、すべてを完璧にするのではなく、いちばん重要なことを、いちばん重要なこととして扱えるよう、余計なものを削ぎ落とすことが得意です。
一語一句、ひとつも情報をもらさないように、丁寧に読む、のはなく、大事な情報を見落とさないように、情報を読んでいます。だから、結果として、完成するまでの時間が速いんです。
患者情報を読んだ後、毎回、その後どうしていいのかわからず、固まってしまっていた人は、何についてアセスメントするのか、そのために必要な情報は何か、を確認してから、患者情報を読んでみるといいです。
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