アセスメントが浅くなる理由〜少ない情報で結論を出してしまう〜
アセスメントをする時、情報は多ければ、多いほど良い、というわけではありません。
が、アセスメントをするのに必要なだけの情報がそろっていないと、患者さんを適切に捉えることができません。
十分な情報がそろわないまま、結論を出してしまっている時、良くあるコメントは「アセスメントが浅い」
ここで言う「浅い」というのは、結果として患者さんを正しく捉えることができない、ということ。言い方を変えると「偏った捉え方」になっている、ということ。
偏った捉え方になると、なぜまずいのか?
患者さんに必要な看護を、導き出せなくなるからです。
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例えば、栄養。
・S)食欲がない
・体重が減っている
という情報があったとします。これだけみると、「良くない状態」だと判断してしまいがち。(これは、わかりやすさのために、極端に少なく、偏った情報ですが・・・)
ですが、実際には、十分なだけの食事摂取ができていたり、血中の総蛋白、やアルブミンも基準値内であったり、その値は変動していなかったり、体重の減少を認めるものの、もともと標準よりオーバーしていたり、という情報が加わったら、「良くない状態」という結論は変わってくるはずです。
結論が変われば、看護の必要性や内容も変わります。
では、浅くないアセスメントにするためには、どんな情報を、どれだけ集めればいいのか。
答えは、「その患者さんの栄養の状態を判断するのに、必要な情報を集める」
それって、なによ?
ゴードンの場合も、ヘンダーソンの場合も、NANDAの場合も、教科書や、学校で配布される情報を記録・整理する用紙に示されている「集めると良い情報」を頼りに、どんな情報を集めるといいのか、を確認することは、ほとんどの学生さんができていると思います。
↑これは、「あなたの受け持ち患者さん」に限らず、どなたの栄養状態を判断する場合にも、必要な情報になります。
見落としてしまいがちなのは、それとは別に「あなたの受け持ち患者さんの栄養の状態を判断するのに、必要な情報」なんです。
他の、Aさんでもなく、Bさんでもなく、Cさんでもなく、あなたの受け持ち患者さんの栄養の状態を判断するために必要な情報、を集めることが重要。
ここなんですね。
浅いアセスメントになるかどうかの、分かれ道。
では、それって、どうやって見つけるのか、というと、ぜったいに外せないのが「病態」です。
・受け持ち患者さんが糖尿病なら、糖尿病という病気が、栄養に及ぼす影響ってないだろうか。
・受け持ち患者さんが肝硬変なら、肝硬変という病気が、栄養に及ぼす影響ってないだろうか。
・受け持ち患者さんが腎不全なら。腎不全という病気が、栄養に及ぼす影響ってないだろうか。
影響がある、関係があるにもかかわらず、それを取り上げることのないまま、問題なし、のような結論になっているとき、「浅い」「疾患と関連づけられていない」または「ずれている」というコメントをもらうことになります。
正確には、指導者からのコメントは、疾患と関連づけられていないので、関連づけてくださいね、ということを指摘しているのではなくて、疾患と関連づけると結論が変わりますよ、ということを意図していることが多いです。
結論が変わることで、看護介入が必要かどうか、ほか、必要な場合もどんな看護が必要になるのか、までもが変わってきますよ、ということ。
実習に行くと、かならず受け持ち患者さんの疾患を勉強します。その理由は、ここにあります。
症状を覚えるためでも、解剖生理を覚えるためでもありません。その病気が、患者さんの生活(今回の例の場合だと、栄養)にどのように影響するのかを理解するためです。
もっというと、それによって「アセスメントに必要な情報を集める準備をするため」です。
情報って、なんでも集めればいいわけではありません。
多ければ多いほど、いいわけでもありません。
受け持ち患者さんの状態を判断するのに、必要な情報を集めることが重要です。
これによって「個別性のあるアセスメント」ができる、というわけです。
続けて、こちらもどうぞ。
>>>受け持ち患者さんの状態を判断するのに必要な情報とは何かを知るための、疾患の学習とは