教科書を使って看護を学ぶときのよくある勘違い
いつも、ありがとうございます。
ローザン由香里です。
メルマガ読者の看護学生さんから、メッセージをいただきました。
看護師さんたちが病態生理に強いのは
英語や生物、化学などと違って、解剖生理、病態生理の授業で扱う内容というのは、見るのも聞くのも初めてのものが多く、ちんぷんかんぷんなことも多いです。
まれに、解剖生理、病態生理が大好き♡という学生さんもいますが、一般的には苦手な学生さんが多いです。
ので、安心してください、というわけではないのですが、そうやって苦手で苦労した学生時代を過ごした人も、立派にナースをやっています。
での、安心してください、というわけでは、やっぱりないのですが。苦笑
何が言いたいのか、というと、解剖生理や病態生理は、覚えるものではなくて、理屈を理解して、その理解を使いながら、さらに理解を深めていくもの、です。
看護師さんたちが、解剖生理や病態生理に強いのは、病態生理に関する知識を、毎日使っているからです。
解剖生理や病態生理は覚えるものではない
心臓とは、どこにあって、何グラムの重さで、どんな形をしていて、と言うことを覚えるのではなくて、
どこで、何が、どんなふうに機能しているか、しくみとはたらきを合わせて、理解することが重要です。
看護学校で、解剖生理、病態生理を学習する理由は、看護をするのに必要だから、です。
身体のしくみや、はたらきを知ることが目的ではありません。
この病気は、こんな症状が出る、ということを覚えることが目的なのではありません。
このような状況の時、一般的にはこんな看護が有効だとされている。
なぜ、このような状況の時、一般的には、↑こんな看護が有効なのか、それを理解するのに、解剖生理や病態生理の知識が必要になります。
もっと言うと、教科書に載っている「看護」も、覚えるものではありません。
覚えてもいいですが、覚えているだけでは役に立ちません。
大事なことは、なぜ、教科書に載っている「その看護」が、受け持ち患者さんに必要なのか、必要だと判断したのか、その理由が適切であること、です。
「受け持ち患者さんは、心不全で、教科書には心不全の場合は、看護Aが必要だ、と書いてあったので、受け持ち患者さんにも看護Aが必要だと判断しました。」
おかしいですよね。
ダメだし覚悟の発言ですよね。
勇気、ありすぎですよね。
症状別看護の場合も、
疾患別看護の場合も、
一般的に、この症状の場合は、この疾患の場合は、こういう看護が必要です、ということが解説されています。
が、それは文字の通り「一般的に」であって、すべての患者さんにあてはまるかどうかは、確認しないといけない重要なポイントです。
その点を確認しないで、それが必要だとか、必要でないと判断するのは、個別性を無視している、ということです。
個別性のある看護を判断する
では、どうやって、受け持ち患者さんにあてはまるかどうかを確認するのか、というと、
その看護が必要な理由、です。
右心不全の場合、一般的に、十分な栄養をとる、という看護が必要とされています。
それは、なぜか、というと、右心不全によって、静脈系がうっ滞することで、消化器系の静脈も影響を受けて、消化器官が適切に機能しないためです。
ということは、受け持ち患者さんも、↑この状況であれば、十分な栄養をとる、という看護はあてはまる、というわけ。
右心不全だと診断されていても、現在は静脈のうっ滞にともなう症状はなくて、食欲もあって、十分な食事摂取ができているときは、この看護はあてはまらないはずです。
が、ここで「受け持ち患者さんも、右心不全なので」という理由だけで、栄養摂取の看護をあげてしまうと、患者さんを把握できていないね、ということになります。
教科書を使って、看護について学習するとき、もっとも大事なことは、なぜその場合、その看護が必要なのか、その理由を正しく理解すること。
そのために、解剖生理、病態生理の知識が必要になります。
解剖生理、病態生理は、それらを覚えることが目的なのではありません。必要な看護は何かを判断するために、必要な基礎知識なのです。
というわけで、疾患は、看護と合わせて学習すると、効果的です。看護と合わせて、疾患について学習する方法について、3回目の講座で解説しています。受け持ち患者さんに必要な看護に、最短でたどりつく方法を学びたい方は、こちらから↓↓