ヘンダーソンのニード論で看護アセスメントをするとは:アセスメントの手順
ヘンダーソンのニード論では、人間には、14の基本的欲求があるとされています。十分なだけの体力、意志力、知識をもっているときには、その人自身で14の基本的欲求を満たすことができますが、体力、意志力、知識が足りていないとき、手助けが必要になります。ここでいう「手助け」をする人が、看護師というわけです。
*「看護の基本となるもの」の中では、nurse を看護師と訳されていますが、英語の nurse には、保健師、助産師も含んだ意味として使われています。
何らかの原因で、体力、意志力、知識が不足していることで、その人にあった生活行動ができないというとき、看護師が「手助け」をします。
では、どんなときに、どんな手助けが必要になるのか、は、どのように判断すると良いのでしょうか。この判断が、「アセスメント」にあたります。
アセスメントするとは、情報を分析・解釈すること
看護過程を使ったヘンダーソン看護論の実践 では、アセスメントを次のようにまとめています。
1、基本的欲求の充足・未充足の判別
2、未充足の原因・誘因を検討
3、必要としている援助を究明
4、分析・解釈のまとめ
1、基本的欲求の充足・未充足の判別
例えば、飲食のニードについてアセスメントをする、というとき、飲食のニードについてアセスメントするための情報が集まっているはずです。それらの情報をもとに、上記のような方法で判別をする、ということです。
わかりやすいのは、数字で確認できる情報ですね。
バイタルサインとか、血液検査の結果など。正常値、基準値と照らし合わせて、問題ないと判断するのか、気になるぞと判断するのか。
他にも、観察したこと、診察したこと、患者さんの発言など、さまざまな情報がありますが、それらについても、ひとつずつ情報が意味していることを確認します。
それぞれの情報を確認できたら、ひとまずの結論を出します。ここでいう結論とは、そのニードは充足しているのか、充足していないのか、ということです。
充足、未充足の判別をするときには、同書の巻末にある「基本的看護(基本的欲求)の充足した状態および情報収集項目」を参考にするといいです。
例えば、呼吸。
1、正常に呼吸する
呼吸のニードが充足しているかどうかを判別するときの基準は、
1、ガス交換が正常に行われているかどうか
2、安楽に呼吸ができているかどうか
です。
さらに、それについて判別するために必要になる情報は何か、ということが、セットで表になって整理されています。こんな親切な資料はありません。必見です。参考書;看護過程を使ったヘンダーソン看護論の実践
ガス交換が正常に行われていて、安楽に呼吸ができている、と判断できる場合は、充足。ガス交換が正常に行われておらず、安楽な呼吸ができていない、という場合は、未充足、となります。
2、未充足の原因・誘因を検討
1、で「未充足である」という結論になったとき、なぜ未充足になっているのか、その原因・誘因を探ります。
なぜ、原因・誘因を探るのか、というと、それらを確認できることで、何を補うことができれば、未充足な状態を改善できるのか、がわかるからです。
ヘンダーソン理論では、未充足の原因を探るとき、2つのことを手がかりにしています。
1、常在条件
2、病理的状態
これらの手がかりから確認できた原因・誘因は、おおきく3種類に分けられます。
1、体力
2、意志力
3、知識
こうして、体力の不足が原因なのか、意志力の不足が原因なのか、知識の不足が原因なのか、がわかることで、何の不足を補えば、未充足状態を改善できるのかを判断しやすくなります。
必要としている援助を究明
何が原因で、何が不足しているのか。だから、どんな援助が必要になるのか、を明らかにします。
↑必要な援助を考えるとき、実はここがカギになります。詳しくは、改めてお伝えしたいのですが、必要な看護は「考えて思いつく」ものではなくて、「何が原因で、どんな現状になっているのか」現状の分析の結果、浮かび上がってくるものなんです。 ←ここ、本当に重要です。これをしないと、もれなく、患者さんの状態と必要な看護がずれます。
思いつく、ではなく、自然と浮かび上がってくる、そうするために、正しい方法でアセスメントすることがポイントです。
分析・解釈のまとめ
3、までに作業してきたことを、まとめて文章にしようね、ということです。
基本的な手順は決まっています。この手順で作業をして、ずれない援助を導き出すためのカギは、いかに必要な情報を集めるか、です。
情報というのは、ただ集めればいいわけではなく、多ければ多いほどいいわけでもなく、アセスメントをするのに必要な情報を集める、これが重要です。
ということは、「何についてアセスメントするのか」これをわかっていないと、必要な情報は集められないということ。
ヘンダーソンのニード論を使ってアセスメントをする、ということは、ニードの充足状態を判断する、ということ。
それぞれのニードについてアセスメントするとき、そもそもそのニードが充足しているというのは、どんな状態なのか。さきほど例で挙げた、参考書の巻末に載っている、「充足した状態、および情報収集項目」は、マストでチェックです。
参考書を携帯するか、その部分だけコピーして持ち歩くかしてもいいぐらいです。ヘンダーソンのニード論でアセスメントをする上では、それほどに重要です。要チェック。