看護アセスメントの書き方〜実習記録にアセスメントを書く前に〜
>>>看護過程で情報の収集と分類が終わったら、次は何をする? の続きです。
アセスメントを書く前に
必要な情報を集めて、集めた情報を読み取った後は、結論によって次に行うことが異なります。
必要な情報を集めて、集めた情報を読み取った結果「看護介入の必要はなさそうだ」という結論になった場合、「アセスメントを書く」という段階に進みます。
必要な情報を集めて、集めた情報を読み取った結果「看護介入の必要がありそうだ」という結論になった場合、「アセスメントを書く」前に、「看護介入が必要な状態になっている原因(影響している因子)を探ります。
たとえば、
・情報を読み取った結論が「便秘かも」という場合、→便秘になっている原因は何か?影響している因子は何か?
・情報を読み取った結論が「入浴行為が自立していない」という場合、→入浴行為が自立していない原因は何か?影響している因子は何か?
・情報を読み取った結論が「必要な食事管理ができていない」という場合、→必要な食事管理ができていない原因は何か?影響している因子は何か?
という具合です。
アセスメントの記録用紙に書くこと
一般的に、アセスメントの記録用紙には、情報を書くらん、解釈・分析を書くらん、看護診断を書くらん、が設定されています。
<解釈・分析>のらんに、情報を読み取った結果を書きます。さらに、情報を読み取った結果、看護介入の必要があるという結論になったとき、そのような状態になっている原因も書きます。
情報を読み取った結果、看護介入の必要があるという結論になった場合、<解釈・分析>のらんには、大きく2つのことが含まれる、ということです。
お手本のアセスメントを見てみましょう。
”年齢と体格から産出される1日に必要とされるエネルギー量1200kcalと比較し、摂取エネルギー量が不足している。元来から少食であることや入院後に食欲が低下していること、さらに嚥下困難や咳き込みによる吐き気、入れ歯が合わなくなってきてきたことなどから食事摂取が今後も十分に行われないことが考えられる。1ヶ月前に比べ4kg体重が減少したことや、現在痩せていること、血液検査データからも低栄養状態が示唆され、今後も続くことが予測される” 『実習記録の書き方がわかる 看護過程展開ガイド』P140より
これは、肺がんの患者さんの栄養・代謝パターンについてアセスメントした内容です。この文章を、ひとつのかたまりとしてみると、「え〜、どうやったらこんな文章が書けるの〜??」と感じるかもしれませんが、どんなアセスメントも基本のつくりは同じです。
分解してみましょう。
1つめの文から。
毎食10割摂取ができると、1日に1700kcal摂取ができるように、食事が用意されています。しかし、対象の患者さんは、毎食5割摂取しています。という情報を、上のような読み取ったということですね。これは、栄養・代謝パターンをアセスメントするために集めた情報を読み取った結果を表しています。
では、2つめの文より。
ここには、摂取エネルギーが不足しているという状態になっている「原因(影響している因子)」が挙げられています。「今後も」という単語が入ることで、今後を予測している文章に見えますが、「今後【も】」という点に注目です。これは、現在【も】摂取エネルギーが足りていないことを意味しています。
そして、3つめの文より。
これは、形としては、1つめの文と同じです。(1)(2)(3)という、3つの情報を読み取った結果から、低栄養状態だといえます、ということを説明しています。つまり、書かれている内容は「情報を読み取った結果」だということです。
どうでしょう。
3つの文は、それぞれ、情報を読み取った結果、または、原因(影響する因子)のどちらかに、当てはまることを確認できます。
「アセスメントを書く」とは
1、集めた情報を読み取る
2、読み取った結果から、看護介入の必要がある状態だと判断した場合、そのような状態になっている原因(影響している因子)を探る
3、1の情報を読み取った結果と、2で探った原因(影響している因子)を書く
といういことです。
アセスメントが書けない理由はいろいろありますが、これまでにいろんな学生さんのアセスメントを見てきて、1番多いのは、1、2、をしないで、いきなり3の「書く」に突入していること、です。
参考書にのっているアセスメントを見ると、大量の文章に驚くかもしれません。ただ、1つずつ分解していくと、1つの文は、意外とシンプルなことが多いです。
大事なことは「何を書くのか」の前に、「書く中身をどうやって作るのか」です。書く中身がそろっていなければ、いざ書こうとして固まるのは自然な反応です。
いざ書こう!と思ったときに、何をすればいいのかわからず固まってしまうという方は、1:情報を読み取る、2:原因を探る、をまずはやってみるとよいでしょう。