「明日から実習記録がなくなります」
いつも、ありがとうございます。
ローザン由香里です。
「明日から、実習記録がなくなります」ということになったら、どんな気分になりますか?
・やったぁー、ラクになるー
・やったぁー、寝れるー
・やったぁー、荷物が軽くなるー
実習記録にストレスを感じている学生さんは多いので、実習記録がなくなることで、ポジティブな気分になる学生さんは多いかもしれません。
では、指導者さん方は、いかがでしょう。
ちなみに、私。
・やったぁー、ラクになるー
・やったぁー、早く帰れるー
・やったぁー、もっとベッドサイドに行けるー
実習記録は、「学生の頭のなか」を書き出したものです。
直接話さなくとも、実習記録を見ることで、何を観察して、何を感じて、何を考えているのか、を確認することができます。
ただ、実習記録の指導をされた方はわかって頂けると思いますが、記録として現れる、学生の考え、というのは、学生の頭の中のほんの一部です。
なぜ、そう考えたのか。
結局のところ、直接話すことで補う場面もたくさんあります。
看護の正解はひとつではない。
ので、結論が何か、よりも、なぜそう考えたのか、論理的思考を身につけることが重要。
っで、直接話すたびに、思うわけです。
「話した方が、圧倒的に速い」
信頼関係を生みやすいコミュニケーションとは
こちらが確認したいことを、確実に聞ける、ということだけでなく、それに対する学生の反応も確認できますし、その反応をもとに、さらなる働きかけを検討できます。
書く →提出する →読む →コメントする →返却される →読む →考える →悩む →悩む →悩む →書けない
記録を通してのやりとりだと、↑こんな感じになるわけですが、矢印の前後、誰も記録に触れていない時間もあるわけです。
提出してから、先生がチェックするまでの間とか、
返却されてから、学生が実際に手にとってみるまでの間とか。
記録を通してのやりとりだと、2日も3日もかかることが、ほんの10分もあれば、おつりがくることもあります。
記録をチェックしていて、ベッドサイドに行けなければ、患者さんの様子も、患者さんと関わる学生の様子もわかりません。
という状況で、学生が書いた記録の内容が妥当かどうかって、判断できません。
記録上で、あーすればよかった、こーすればよかった、とアドバイスしても、それが本当にその場に合っていたのか、その場面を見ていないと判断できないはずです。
何より、現場を見ないで、文字だけで判断されたアドバイスと、現場にいて、かつ現場を想起させながらのアドバイス、学生はどちらのアドバイスを受け入れやすいでしょうか。
実習記録は、実習した内容を書く記録です。
記録が書けないとき、書き方よりも先に確認することは、実習の内容のはずです。
看護計画を立てた後の、「実施・評価」の記録については、特にそれを感じます。
SOAPの指導のタイミング、あってますか?
看護目標を達成するケアであったかどうか、達成に近づくケアであったかどうかを判断するSOAPでは、
適切なコミュニケーションによる、S情報があり、
必要な観察によって得られた、O情報があって、
初めて、ケアをアセスメントできます。
こうして、適切なアセスメントができるから、ベターなプランが浮かびます。
ということは、妥当なSOAPが書けるかどうかは、必要なS情報、O情報を得ることができているか、が重要になります。
だとすると、できあがったSOAPを見ているだけでは、内容は判断できないということになります。
SOAPは、ただでさえタイムラグがあります。
10月1日に実施したケアについて、SOAPを書く場合、
提出するのは、10月2日。つまり、指導者がチェックするのは、10月2日。
ただ、10月2日には、10月1日のSOAPのPをもとに、新しく検討したケアをする予定になっています。
10月2日の実施の前に、10月1日のSOAPをチェックしている指導者って、どれほどいるでしょう。
これを、実習が終わった後に、まとめてみて、添削するとか、もはや意味がありません。
実習が終わってから、あのときのSOAPでは、こうアセスメントして、次の日にこうするとよかった、とコメントを書いても、とっくに「次の日」は過ぎてしまっているからです。
ちなみに、おさらい看護過程では、↑このタイムラグを防ぐSOAPの準備方法について説明しています。10月の回の受講者さんは、メモ帳の取り方についての資料がありますので、配信メール(11月2日分)を確認してください。
実際に患者さんとかかわりながら、看護を学べるチャンスは、実習だけです。
実際に患者さんとかかわりながらでないと学べないことを、実習では学ぶべきだと思うのです。
だから、とっとと記録をなくせばいい、という短絡的な話ではありません。
なんのために、その記録を書く必要があるのか。
そして、その目的を学生自身は理解しているのか。
ここを、指導するわたしたちが、もっと明確に把握すべきだと思うのです。
「記録を書く」ことが前提の実習。
になると、提出されたものをチェックする、ことが記録の指導だと勘違いしがち。
記録に限らず、実習指導において、指導に迷う、というとき、判断の基準がない、もしくは曖昧なことが多いです。
自信を持って実習指導をするために、もっとも大事なこと。
・看護過程を展開する目的を理解する
なぜ、看護過程を展開するという方法で、看護を学ぶのか、
なぜ、実習という方法で、看護を学ぶのか、
それを理解することで、指導の迷いはなくなります。
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