看護実習の行動目標・看護目標設定によくある勘違い
いつも、ありがとうございます。
ローザン由香里です。
確かに、「目標を達成できなかった」が、続くとなると、達成しないケアを毎日やってるの?という感じに思われたりするんじゃないか、という、その気持ち、なるほどです。
実は、ご相談内容のなかに、注意しなければいけないことが、含まれています。それは、こちら↓↓
目標の扱いによくある勘違い
「患者さんから、●●という発言が聞かれる」みたいな目標を設定して、ずばり●●という発言が聞かれなかったら、目標って達成できないってことになりますよね。」
これ、<目標を達成できなかった>ということには、ならないことがあります。^^
私が想像するに、勘違いをしている人が、かなり多いと思うんですが、行動目標も、看護目標も、設定したあと、評価するまでの間に<必要であれば、変えてもいい>んです。
目標を達成できない理由は、大きく2つあります。
1、目標を達成できるための、実施ができなかった
2、目標の設定が妥当ではなかった
この、<2>に当てはまるとき、というのは、目標が高すぎる、または低すぎるとき。その場合、目標自体を変える必要があります。
ただ、好きなときに、勝手にじゃんじゃん変えてもいいか、というと、そういうわけではなくて、約束を守って変える必要があります。その約束とは、<なぜ変える必要があるのかを、説明する>ということです。
正しい目標の変え方
実施・評価には、これらのことを書きます。
行ったこと(1)
行ったことによる結果(患者さんの反応)(2)
それらを踏まえて、で効果的だったのか?(3)
その判断を踏まえて、だから次どうする?(4)
このうちの、(3)では、>>>具体的にこのような視点で効果を判断するわけですが、ケアの内容は患者さんにあっていて、ケアの目的も果たしている。けれど、この目標だと、達成したとは言えない、という結果になるとき、現在設定している目標が、患者さんの現状にあっていない、といえます。
これを、(4)に加えます。で、さらには、それを踏まえて、目標をこれに変える、という内容もいれます。
これで、目標の変更、完了です。
行動目標、行動計画は、日ごとの扱いになるので、中身がまったく同じまま続いていくことは、あまりないかもしれません。
看護目標、看護計画は、継続して扱っていくものです。ので、ひとまず立てたら完成。あとは、それを踏まえて、実行するのみ、みたいな感覚があるかもしれません。が、それは間違いです。
看護計画は、看護目標を達成するために何をするのかをまとめたもの、です。
っで、看護目標、看護計画、というのは、<ある時点>でのアセスメントをもとに、設定されています。その時点での、ベストな看護目標、看護計画になっているはずです。
<その時点での判断>という点が、ポイントです。
その時にわかっていること、把握できていることをもとに、目標を考えたら、これがいい、ということになって、その目標を達成するためには、これをするといい、ということになった。これが、<その時点での、看護目標と看護計画>ということです。
ですが、その後、看護計画を実践していく中で、これまで知らなかったことを知ることになったり、異なる見方によって、患者さんの捉え方が変わったりすることで、目標があっていない、看護計画をもっとこうしたほうがいい、ということは、起こって当然のことなんですね。
なので、そうなったら、変えればいい、というわけです。というより、正しくは<変えないといけない>ですね。今すでにある設定が、患者さんにあっていないわけなので。
ということは、つまり、看護目標、看護計画というのは、立てたら終わり、設定したら終わりというものではなくて、その都度、患者さんの現状にあっているか、ということ<も>確認していく必要がある、ということです。
完璧を目指すより早く動き出した方がいい本当の理由
<目標や計画は、必要なときに変更すればいい>
これを知っていると、最初に看護目標や看護計画をたてる時点で、100点満点を目指す必要がなくなります。
目指してもいいんですが、それは、あくまで<その時点>の100点満点である、ということを自覚していないといけない、ということです。
単位が<日>なので、イメージしにくいかもしれませんが、5年前の<はまっていること>と、今の<はまっていること> 変わってきてませんか?
それは、あなた自身も、まわりも<常に変わって>いるからです。
これと同じ。患者さんも日々変わります。前の日と、ほんの前の瞬間と、まったく同じということはありえません。目に見える変化もあれば、目に見えない変化もあります。その<変化>に合わせて、<今のベスト>を見極めることが、私たちの仕事です。
<今のベストを見極める>そのためには、<やってみる>ことが必須です。
この目標が妥当なのか、
この計画は患者さんにあっているのか、
これは、頭の中で考えている間は、答えは出ません。
なぜなら、その答えを知っているのは、患者さんだからです。
やってみて、患者さんの反応を見て、気づいたこと、感じたこと、確認できたこと、これらが<判断の材料>となって、今の目標で大丈夫、今の計画で方向外れてない、などを確認できます。
こればかりは、やってみないとわかりません。
ので、完璧な目標、計画をたててから、実施。なのではなくて、実施しながら、患者さんにあった目標、計画を検討していく、初期の目標や計画を充実させていくことのほうが、格段早く、個別性のある内容になるものなのです。
<目標を達成できなかった> そう気付いたとき、これを2つの視点で、検討する必要がある、というサインです。
1、目標を達成するための実施になっていなかったのかも
2、目標の設定が妥当ではなかったのかも
目標を達成できなかった、今日のケア(実施)はダメだった・・・ではなく、目標そのものを見直して、より患者さんにあったケアを目指したいですね。^^
こちらも合わせてどうぞ。
>>>看護実習の毎日の行動目標の立て方〜目標を具体的にする本当の理由〜