看護過程のよくあるルール違反
いつも、ありがとうございます。
ローザン由香里です。
ルールを守らない=ルール違反、をすると、もれなく「ずれた看護過程の展開」になります。
つまり、受け持ち患者さんに「合わない」展開になる、ということ。
いろんなずれ方があるんですが、今回は、よくあるルール違反をご紹介。
アセスメントを使わないで看護診断する
アセスメントする、というのは、「患者さんの状態を判断する」ということ。
アセスメントを使って、看護診断をする、というのは、
・これらのことが影響して(要因、原因)で(1)
・これらのことを生じている(2)
・この状態に看護介入をしないと、こんなことが起こるだろう(3)
という、アセスメントの内容と、看護診断ごとの条件(定義、診断指標、関連因子、または危険因子)を照らし合わせて、条件が合う看護診断を選ぶ、ということ。
例えば、受け持ち患者さんの状態を引き起こしている要因(1)が、看護診断でいうところの、関連因子の一覧の中に含まれていないとき、その看護診断は、受け持ち患者さんには当てはまらない、と言えます。
が、適切なアセスメントができていないために、要因・原因を確認できていなかったり、要因や原因を確認できていたとしても、それらを使わずに、看護診断してしまうと、患者さんの状態、状況に合わない看護診断になることが多いです。→これが、ルール違反です。
こちらの記事も合わせて、どうぞ。
>>>看護診断がずれないためのルール〜診断指標、関連因子、危険因子の使い方〜
看護診断(アセスメント)を使わないで看護目標を立てる
看護目標というのは、看護問題が解決した状態をいいます。
看護問題というのは、アセスメントの結果、看護介入が必要であると判断した状態、のことです。
転倒しやすい状態である、とか
栄養不足の状態である、とか
日常生活が自立していない状態である、とか。
アセスメントによって確認できたこれらのことをもとに、では、看護介入によって改善する「望ましい状態」とはなにか? この「望ましい状態」というのが、看護目標になります。
転倒しない、とか
栄養不足が改善する、とか
日常生活が自立する、とか。
これらの看護目標というのは、「現在の状態を適切に把握できている」=アセスメントができている、からこそ、受け持ち患者さんにあったものを、設定することができます。
自分の目標に置き換えると、イメージしやすいです。
現状は、すごくやせている、のに、ダイエットで何キロ落とすだとか。
現状は、英語の勉強をしているのに、フランス語の試験を受けるとか。
不可能ではないけれど、100%間違いではないかもしれないけれど、
現状を踏まえると、適した目標だとは言いにくいです。
受け持ち患者さんにあった看護目標にするためには「現状を踏まえる」ここが重要です。
こちらの記事も合わせて、どうぞ。
看護目標を使わないで看護計画を立てる
看護計画というのは、実際に何をどのように行うのか、行うケアのくわしい内容を整理したものです。
が、大事なことは、「計画の中身」の前に、なんのためにそれらのことを行うのか?その目的です。
看護計画というのは、看護目標を達成するために、何をどうするのかをまとめたものです。
なんでもかんでも、思いついたものを含めればいい、のではなく、「看護目標を達成するために」ここに敵う内容でないと、辻褄が合いません。
どんな手順で何をするのか、という援助計画ではなく、「なんのために、それらを行うのか」目的にあったケアの内容であることがポイントです。
そして、看護計画の中身を検討するときは、アセスメントを使います。
くわしくは、こちらから。>>>ずれない看護計画を立てるための条件
看護計画を使わないで看護計画を実施する
そんなことは、ありえない、と思われるかもしれません・・・
正確には、「看護計画というのは、看護目標を達成するために行うケアの内容なわけなんですが、看護目標を達成するためのケア、ということを意識しないで実施する」ということを、指しています。
そんなことを意識しようが、意識しなかろうが、実施中には、あまり関係がありません。
問題が起こるのは、実施した後、評価をするとき、です。
実施の段階で、看護目標達成を意識していないと、評価ができないのです。
評価ができない理由は、看護目標の達成を意識していないことで、実施の時に評価に必要な情報を、意図的に集めることができないため、です。
実施をしているときの情報収集というのは、気づいたことを集める、のではなく、今行なっているケアが効果的であったかどうかを判断するための材料(情報)を集める、ということです。ここ、とても大切です。
この、意図的な情報収集ができないと、評価ができないことに、つながるというわけです。
評価ができないくわしいからくりは、こちら。>>>あの人はなぜ実施評価がスラスラ書けるのか?
看護計画を実施した内容を使わないで看護計画を評価する
評価、というのは、「振り返り」と表現されることもあります。
自分が行なったケアがどうだったのか、を振り返りなさい、と言われると、当然ですが、自分目線で、自分の思い出せる限りのことを頼りに、反省をしてしまいがち。
自分が行なったケアがよかったかどうかは、自分の感想で判断するのではなく、決まった視点があります。
・看護目標を達成するためのケア、もしくは看護目標の達成に近づくケアであったかどうか
・受け持ち患者さんの状態、状況にあったケアであったかどうか
この2つの視点で、行なったケアを評価します。
特に忘れやすいのは、ひとつめの「看護目標達成」という点において、効果的であったかどうか、という視点。
評価が、感想や反省になっているとき、
・ひとつめの視点で評価をしていない
・ひとつめの視点で評価をするのに必要な情報がそろっていない
ことが多いです。
次につながるケアの評価をするためには、実施の段階から、評価を意識して準備をすることが重要です。
こちらの記事もあわせて、どうぞ。>>>看護実習のSOAPになっていないSOAPとは?
アセスメントから、看護計画の評価まで、ルールを守って、看護過程を展開すると、もれなく受け持ち患者さんに必要な看護は何かを判断できることになります。
効率よく看護過程を展開するためのカギは、ルールを知って、ルールを守ること。
アセスメントから、看護計画の評価まで、効率よく展開するポイントと、そのポイントを押さえる方法を学びたい方は、おさらい看護過程講座がおすすめです。実際に展開する流れに合わせて、ルールを守る方法について解説しています。 ^^ くわしくは、>>>こちらから。